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【グルメの迷宮】露店スピリット息づく屈指のベトナムサンド◆高田馬場[バインミー★サンドイッチ]

11/08/10 |散歩の達人編集部より|

 ブームになる直前の90年代中頃からベトナムにハマり、幾度となく遠足に出向いた時期がある。ホーチミン、ハノイ、ニャチャンにホイアン、カントー、ダラット等々、約10年に渡ってあちこちぶらついたものだった。そして、行く先々で必ずパクついていたお楽しみが、バインミーである。

  バインミーは、19〜20世紀のフランス植民地時代、フランスからもたらされたパン文化が、かの地で開花し、独自のアレンジを経て完成した、おそるべきベトナム風サンドイッチである。

 ふで箱サイズのフランスパンを横に切り開き、内側にレバーペーストを薄く伸ばす。ハム類となますに似た酢漬けの細切り野菜を詰め込み、ニョクマム(あちらの魚醤)ベースの汁をヒトふり。ハーブをちょいと載せて完成というのが基本。ベトナム庶民のファーストフード、散歩の友であり、露店で作りたてを持ち帰るのがお約束だ。

 身振りで個数を示せば、言葉がわかり合えなくても手に入る。ガイジン価格でボラれて1ドルぐらいか。最初に、ホーチミンの喧噪の中でくらいついた時の衝撃は忘れられない。未体験の美味さだったからだ。

  我が国で、韓流ならぬベト流が進み、ベトナム縁りのカワイイ雑貨とか、専門料理店もそれなりに増え、飛行機に乗らなくてもバインミーに出会える機会も増えてきた。

 しかし、なのである。ことバインミーに関しては、本場の味を知ってしまっていると、ううむなのである。何店舗かで試してみたが、味に靴の底から足を搔いていような違和感がある(どんな味だ)。

 本来が、露店のファーストフード。ベトナムの露店のノリを、味ごと持ってこようといったって、無理がある。こりゃまた行くしかないか。バインミー貯金はじめようかね、と思っていた矢先、今回紹介するこの店が、高田馬場にひょっこり隠れていたのである。

  JR高田馬場駅の早稲田口。学生・予備校生でごったがえす池袋寄りの大きい改札をぬけ、目の前のガードを向かって左に進む。ちょいと進むと、道路(早稲田通り)の左手にマクドナルドがある。この角を左にくいっと曲がり、地味な筋をすたすた歩き、右手に居酒屋さんが見えたら、隣のこざっぱりした店が『バインミー★サンドイッチ』だ。

 ひょっこりどころか、しっかり隠れているロケーションである。

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 『バインミー★サンドイッチ』は、屋台ではないが、テイクアウト専門。今年で2年目を迎える。店の扉を開けると、狭い通路が奥に続き、突き当たりに食券販売機が控えている。通路の片側はカウンターで、そこに購入した券を置き、作りたてを持ち帰るシステムだ。

 通路が狭いのには訳がある。厨房の中一杯に、パン焼き用オーブンがどーんと占めてしまっているからだ。それゆえ厨房スペースもぎちぎちで、妙齢の女性店員さんが、隙間を身をよじるようにして動き回っている。

 この店のウリのひとつは、そこまでしてこだわるパンだ。ベトナムでは、田舎町ですら朝、フランスパンを天秤棒にかついで売って回っていたりするほど、パンが生活に根付いている。そしてグルメ気質の国民性ゆえ、何気にレベルが高い。普通なら期待できないホテルの朝食ですらパンはなかなかで、初めて食べると、えっと驚く。食感は表面ぱりぱり、中はもちもちしっとりした独特の傾向があり、バインミーとの相性がすんばらしい。

  日本で食べるバインミーは、国産のパンだから、なかなかこの点がクリアできない。お米ならどこのどんな米でもOK とはいかないのと同じである。そこで『バインミー★サンドイッチ』では、手に入らないなら自分たちで作っちゃえと、ベトナム・テイストのパンを自ら再現してしまったのである。それだけで食べてみる価値ありそうでしょ。

 扱うバインミーの種類は、定番の ベトナムハム&レバーペーストを筆頭に、 海老アボカド、豚焼肉 、 ベジ&チーズなど6種類各500円。ミニサイズもあってこちらは300円。あれこれ買って、いそいそと家に戻ったのである。

 適当に選んだのは、 ベトナムハム&レバーペーストと、海老アボカドにお店のおすすめでレバーペーストを追加トッピングしたやつ(+70円)、それにミニサイズの豚焼肉。

 包装からして楽しい。紙に包んで輪ゴムでさっと止めてある。あちらの屋台そのまんまのスタイルだったりする。

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 手前が普通サイズ、奥がミニサイズ。ミニとはいってもそこそこのデカイぞ。

 包みを開けると、あふれんばかりに具をつめこんだバインミーが登場する。さっそくベトナムハム&レバーペーストから、かぶりつく。

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 おお、この味、懐かしや。

 酢漬けの細切り野菜のまろやかな甘みとレバーペーストのほろにがい味が口内に拡がり、ハムとパクチー、秘伝のニョクマム・ソースのクセのある風味が独特のアクセント与える。外側パリパリ中モチモチしっとりのパンが程よく全てをまとめあげ、口の中は、味覚のお祭りワッショイ状態である。脳裏にベトナムの雑踏が蘇る。

 具沢山なので、1個だけでも食べ応えがある。オリジナルの海老アボカドもさっぱり具合がよく、

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豚焼肉は甘めのタレが絶妙でそれぞれイケる。

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見た目は似ていても味は違いますから。

 ハンバーガーなどに比べると、野菜中心なので胃もたれもしない。とはいうもののさすがに3つは食べ過ぎ。うっぷである。 

 それにしてもこのパン、手間がかかっているくせに妙に力が抜けている。近頃は、美味しいパン屋が増えていてそれはうれしいのだけど、気負いが出過ぎのパンが少なくない。『バインミー★サンドイッチ』 の自家製パンには、あんまりそれがない。オーソドックスなバインミーの味を出したいだけ、とばかりに飄々としている。

 いやはや変にオシャレ化高級化させることなく、よくぞ露店ならではの味を持ってきてくれました。

 ベトナムの露店が恋しくなったら、とりあえず高田馬場をさまよいに行こうと思うのであった。

 

(写真・文=奥谷道草)

 

 

DATA バインミー★サンドイッチ

 

バインミー ベトナムハム&レバーペースト500円 海老とアボカド500円 ミニ各種300円 新宿区高田場4-9-18畔上セブンビル101 電話03-3608-7141  営業時間 平日11:00~19:30 土10:00~18:00(日祝~17:00) 月・第3、4、5日曜休 http://banhmi3.exblog.jp/