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【グルメの迷宮】神楽坂のふもと、ちょいとひねった庶民味◆飯田橋[翁庵]

11/09/13 |散歩の達人編集部より|

 目指すは神楽坂のふもと。なので神楽坂ではあるものの、最寄り駅は飯田橋である。JR飯田橋駅の西口を出て、坂道をたらたら降りて交差点を渡ると、左手に見えるモスバーガーの隣り、地下鉄飯田橋駅なら構内を通って一番市ヶ谷寄りのB3出口を出ると斜め前方にひょいとあるのが蕎麦屋の「翁庵」である。からし色のビルの1階。入り口がちょいと奥まっているのは、昔石畳でも続いていた名残かもしれない。創業明治17年の老舗である。

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 神楽坂の筋は、あれこれ小じゃれた飲食店が、泡沫の賑わいを見せる今日この頃だが、この翁庵、普通の町の蕎麦屋テイストをじっと守り続けている、今となっては尊い店である。のれんをくぐって中に入ると奥へ長い店内の突き当たりの高みにTVが陣取り、お昼のワイドショーとかを流している。

 おもしろいのが店内の半分がテーブル席、残り半分が畳敷きの座敷になっているところ。下町の古めの居酒屋とか、地方の茶店とかにで見かける、懐かしい造りである。都心の蕎麦屋じゃ、もうほとんど残ってないんじゃなかろうか。

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 翁庵は、由緒正しい町の蕎麦屋であるから、お品書きの方も見慣れた品々が並ぶ。麺類にごはんもの、酒のつまみがやや多めか。その中で、目をひくのが名物のかつそばである。文字通りトンカツ君が蕎麦に乗っているそばである。注文すると、お姉さんに「温かいのと冷たいのどちらにしますか?」と訊ねられるであろう。

 温かいのは普通の汁そば。冷たいのは、さぬきうどんで言うところぶっかけで、丼に盛ったそばの底に、もりそばのツユが沈んでいる仕様である。

 いずれも注文すると、まずやってくるのがミニサイズの冷や奴。定食屋っぽくっていいですなあ。

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 ゆっくりつついていると、間もなくどんぶりに立派なカツが乗っているそばが、どーんとやってくる。カツは4㎜厚ぐらいのやや薄目で、赤みが勝っていてしつこくない。こってりぎとぎとではないので、そばの具におあつらえ向きだ。それに付け合わせの、ほうれん草のおひたし。

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 町の蕎麦屋でおなじみの細めの麺で、汁もまずまずの醤油味である。ただし麺の量が多い。最初は、箸がしなるほど重くからみついてくる。ゆめゆめ大盛りなど望んではならない(そもそも大盛りないだろうけど)。身の破滅だ。

 温かい方のかつそばは、ややしっかり目のカツの衣が、そばのつゆを吸い、少し剥がれたやつを喰らうのがこれまたB級的な口福感。

  冷たい方は、一見同じ見えるけれど、丼の半分ぐらいまでの水位にもりのツユが、しずしずと漬かっていて、ソバを混ぜ合わせて頂戴する。

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 ソバが減ってこないとカツがツユに漬からないので、カツ単体の味が味わえる。冷たい方はそば湯もついてきて、食べ終えたら丼に投入、残ったツユを割ってずずずとすすれば、乙に口がまとまる。

 味はどちらもいい勝負なので来る度に迷うことであろう。

  庶民派の地に足付いた満腹感に満ちたところで、人生に余裕があれば、神楽坂を登っていこう。腹ごなしに最適の散策である。

 (写真・文=奥谷道草)

 

 

DATA 翁庵(おきなあん)

 かつそば850円 新宿区神楽坂1-10 電話03-3260-2715  営業時間 平日11:00~22:30(LO.22:00) 土祝11:00~20:30 日休