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【グルメの迷宮】函館の穴場で食い倒れ◆丸亀[函館]

12/06/25 |散歩の達人編集部より|

 はるばる来ちゃった〜函館である。

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 写真は、JR函館駅。

 

 春先、弘前で美味しい思いをしたあたり(バック・ナンバー参照)から、北国への慕情が募り、ちょいとしたついでとかもあって、北海道を発訪問と相成った。

 

 函館は北海道の南端にある、海にちょいと突き出たデベソみたいな土地である。狭い範囲(といっても北海道なので、東京あたりとくらべりゃ道も広々)に、海と山と温泉が詰めこまれている。チョー有名なのは五稜郭と夜景あたりか。ベイエリア周辺には、震災・戦災を免れた歴史的レトロ建築物がにょきにょき建ち並び、飲食店やショップにリフォームされている事も少なくない。この辺りは、はっきり申し上げて、観光地丸だしゾーンである。

 

 海辺のJR函館駅前の函館朝市なども有名なのだけど、安くないわ、客引きしつこいわで、そーいうノリについていけないと、ぶらつくだけでくたびれる。ちなみに、食材を買う出なら自由市場や、地元御用達で本当にレトロ商店街、中島廉売や地元スーパー魚長あたりがオススメ。 

 

 しかしである。函館は観光エリアをはずれさえすれば地味な街並みが続いていて、その雰囲気がなかなかによい。変に期待せず、ゆるゆるするにはもってこい。広い空の下、市民の足となっている市電にがたがた揺られ、適当な駅で下車して散策する味わいは、ヨソ者には格別だ。

 

 そして味わいといえば、今が旬のスルメイカの透明な刺身が、食べずにいたら人生に悔いを残す美味さだし、その他諸々の魚貝類、野菜も鮮度バツグン、しかも水が美味いから、どこで何を食べても大ハズレってことはまずない。普通の居酒屋であろうと総じて美味い。

 

 また、日本でいち早く珈琲が飲まれた地域ということもあってか、名バリスタの営む「Old New Cafe」のエスプレッソなど、東京でもまず味わえないクラスで、魂が震えた。

 

 それに加え、今回はお目当ての店が一軒あるのである、ふふ。

 

  JR函館駅から1時間にほぼ1本の割合で運行されている江差線に乗車、ふたつめの七重浜駅で下車する。所要時間10分ほどだが、駅員のいない無人駅である。 

 

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 階段を上ると、線路をまたいで東西に連絡通路が延びている。西側が七重浜海水浴場へ続くメインストリート。スーパーなどはあるけど、がらんとしている。とはいっても寂れた感じはあまりしない。

 お目当ての店は、線路の反対側にある。ふたたび連絡通路を登り、駅東側堀籠に降りると、そこはこざっぱりした住宅街。あちらこちらのお宅の庭先に、手入れされた花が植っていたりして、こちらも寂れた雰囲気はない。

 後で聞いた話だと、七重浜は函館のベッドタウンに相当する地域のひとつなのだそうだ。電車の本数はなくても、地元民は自家用車で移動が基本だから、そう困ることもない。なるほどね。

  駅の前方の住宅街の間を道なりに直進し、2本目の十字路を左折。その先も、ありゃあ、まったくの住宅街。

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 店はこの筋の先にあるはずなんだけど……とかつぶやき進んでいくと、ほどなくして左手に店の看板が見えた。

 この地で50年あまり続く「丸亀」さんである。

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 駅前から徒歩数分の立地だが、観光客さんは、訪れるどころか存在すら知らないでしょうなあ。なのに何故知っていたかというと、「丸亀」さんが、店の名物ホルモン鍋の通販をやっていて、以前から愛好していることにある。

 新鮮ぷりぷりの豚モツに、地元の野菜、〆の麺もつけて2〜3人分で2500円(+送料)。味噌仕立てのスープの味付けもいけるし、ボリューム考えたら安いし、下手な店に食べに行くより満足できてしまうのだ。

 その通販のサイトに実店舗も写真付きで紹介されていて、玄関のたたずまいがなんとも美味そうなオーラを放っていたのである。そのうち行ってみたいもんだねと、ずっと機会を狙っていた次第。人間辛抱だ。

 あらためて肉眼で拝見する店構えは、やはりオッサン好みの美味そうオーラを静かに放っていた。掃除が行き届いた落ち着いた店構え。シンプルな造作に、そことはかとない自信が漂っているように見うけられる。

 「こんにちわ〜」

 引き戸を開けて、店に入ってまず面食らったのが混雑ぶりである。日曜の夕方6時ちょいすぎというのに、賑わっていること。無人駅の住宅街の直中にいるとは思えませんぜ。

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「週末は家族で食事に来るご近所が多いんですよ。平日もこのくらい入ってくれればねえ」

 と、苦笑混じりに3代目のご主人。それにしたって大した賑わいじゃあーりませんかと挨拶を交わし、ニヤニヤお品書きに手もみしながら、夕めしの選定である。

 「丸亀」さんは、焼肉・ホルモンがメインの大衆割烹といったところ。表の看板にも刺身、焼き鳥、焼き魚と、焼肉・ホルモン以外でもひととおりのものが食べられる。メニューの平均価格は500〜600円台。気が大きくなって、ノーリミットでじゃかじゃか注文である。

 とりあえず、北海道限定のサッポロ・クラシック樽生と、ホルモン鍋で乾盃。くうう、生ビール、瑞々しくってうめぇ。

 ホルモン鍋580円は、豆腐入りの煮込みといったほうが近い。近頃のモツブームなどのはるか以前から供されてきた名物である。

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 通販で食べ慣れているはずなのに、ひと味違うのはモツの鮮度のせいか。通販のモツも新鮮で美味いのだけど、実店舗で食べるのはそれよりさらに新鮮なので、よりぷりぷりのコリコリなのである。煮込み方もさすがプロだし。

  続けてホルモン焼き380円も、これまた鮮度バツグン。

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 見た目は地味だけどね。丁寧に処理してあるので臭みなんぞはまるでない。調子に乗ってカルビに牛タン、牛レバ−、豚ロースとどんどん頼む。いずれも、初代が考案し、代々引き継がれているオリジナルの付けダレが絶妙にマッチする。

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 地元の大根のうま味が印象的なカクテキ、北海道ならではのホッキ貝をマヨネーズであえたホッキサラダなども、何気に秀逸だ。その日のおすすめの刺身も上物。どの品もこだわりが隠れていて、手抜きのない美味さである。東京の下町をホウフツさせる、さっぱり丁寧な接客もいい。

  次々頼んで、黙々と呑んで食べ……さて〆はどうしよう、と思っていると、

「ウチはご飯も美味いですよ、道南で育てられている『ふっくりんこ』という品種のコメを、有機栽培に積極的に取り組んでいる地元の農家の方から仕入れてるんです」

 そうご主人に勧められ、その日の焼き魚であったホッケと一緒に注文。

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 素朴な美味が、口をうまくまとめてくれた。お味の程は写真からは想像できないだろうけど、想像して頂くしかない。

  時計を見るとまたたく間に2時間が過ぎている。帰りの電車が間もなく到着する時刻だ。乗り損ねるとあと1時間待つことになるので、あわてて支払いを済ませ、「ごちそーさまー」と挨拶して駅へ急ぐ。そとはもう真っ暗だ。まもなくやってきた函館行きの電車に乗り込み、満腹の腹を抱えてゆったり余韻にひたる。

 ロケーションもふくめて、まさに「グルメの迷宮」と呼ぶにふさわしい、口福な一時であった。

(写真・文=奥谷道草)

 

DATA 

焼肉・ホルモン 丸亀

ホルモン鍋580円、ホルモン焼390円ほか、500〜600円の価格帯の品がメイン。込み入る週末は場所が場所だけに予約が無難。北海道北斗市七重浜3-15-30  電話0138-49-2718 営業時間16:30~23:00 月休 通販はホルモン鍋以外にもいろいろ。 http://marukame.ocnk.net/