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【グルメの迷宮】台湾リターンで冬の鍋◆紅面薑母鴨[台北]

14/01/14 |散歩の達人編集部より|

 しつこくて何だけど、あえて前回に引き続き、台湾のうまうま歩きである。しかし、単なる続きではないアルよ。
 年末、格安航空会社 (LCC) のチケットがふらっと取れてしまい、試乗の意味合いも込めて、連れ合いと正月三が日を台北で過ごしてみたのである。
 利用した格安旅行会社は「バニラ・エアーライン」。昨年12月20日から就航を始めた、できたての小籠包みたいにほかほかの新会社である。旧名を「エア・アジア」といい、マレーシアのエア・アジアとニッポンのANAが提携運営していたのだけど、方向性の違いから昨年夏に提携解消、ANAの100%出資の新会社として名を改め、運行を再開したという次第。

 格安航空会社ではあるものの、チケット代は年末年始の高騰する時期だったので激安とはいかなかったけど、ざっと他社の半額ぐらい。近頃の台湾行きチケットは、半年前あたりから手配しないとむずかしくなっている。ひと月ほど前に取れただけでラッキーとせにゃならぬ。
 小ぶりな機内は、さっぱりした仕様で、間隔の少し狭い座席が2列に並び、映像・音楽関係の設備はなく、毛布類もなし。途中、軽食と飲料の機内販売が回ってきて有料で利用できる。発着は成田空港。戻りは22時なので終電(成田空港は23時まで電車がない)に乗り損ねる可能性がある(その場合は高速バス)。そんな、ならではの特徴は幾つかあるものの、行き約4時間、帰り約2時間半の旅なんだから大して気にはならない。添乗員の対応も普通だったし、これはこれでアリかなという使い心地である。真新しいビビッドな青の制服が目に眩しかったぜえ。

 沖縄のさらに先にある台湾は、正真正銘南国の島国である。けれどその北端に位置する台北は、冬場はけっこう寒い。気温は20数度〜10数度で、うっかり10度を切ることもある。東京の11月ぐらな感じか。くわえて小雨がちときている。街中では薄手のセーターやダウンジャケット姿がよく目につく。
 また中国文化圏の正月=春節は、旧正月(今年は1月31日)であるゆえに、日本の正月三が日は、ごく普通の時期である。台湾は1月1日が開国記念日の休日になっているものの、街中にさほど浮き足だった気配はない。クリスマス飾りもあちこちに残っていたりして、そろそろ新年の準備に取りかかりましょうかねといった頃合い。気温だけでなく、街の雰囲気も11月の末ぐらいなのだ。そんなのんびりした雰囲気の中、一種独特な趣のある南国の冬を散歩するのは格別である。特別料金&大混雑の国内正月温泉旅行よりくつろげるかもなあ。

 さて、勢いとはいえ台北に来た以上、ならではのものを食べなくちゃもったいない。前回紹介の、台湾で極度に発達している素食(精進料理)の新たな店を発掘したり、日本人駐在員向けの飲み屋の並ぶ路地で夜食の牛肉麵をすすったり、それなりにうまうま散策を面白く満喫できたのだけど、今回の目玉は鍋であった。
 台湾にハマって通っている外国語教室の先生が台北っ子で、同じ時期に帰郷していたのが事の始まり。え、台北にいるの、しょうがないなあ鍋にでも連れて行ってあげましょうかと、誘ってくださったのである。おお謝謝。
 先生はW老師(=先生)という、妙齢の才女である。ほっそりした外見とはうらはらに量もいけちゃう美味好きで、ぺらぺらの日本語並みに台北のうまうま事情に精通しているお方である。

 夕刻、MRT(台湾式メトロ)に乗り、待ち合わせ場所の文德駅へ。ここは台北市内の北東で、基隆河という太い河を隔てた向こう側にある。湿地帯で地盤がゆるく、ちょい格落ちするエリアだそうで、失礼ながら隅田川の向こう側の下町地帯を彷彿とさせる。ハツラツとした中心部とは異なる、少し荒い雰囲気が魅力的だ。こんな機会がなければ観光客が足を踏み入れる場所ではない。もうそれだけで楽しくてゴハン3杯はいけそうな勢いである。
 店は、駅からだいぶ先にありますよ大丈夫ですか? と訊ねるW老師に問題ナッシングと首を振り、駅前の文徳路という大通りを東へ。大きなT字路を右折して成功路という大通りに入る。学校が数校かたまっていて、下校する女子中学生の一団とすれ違ったりする。制服が日本そっくりで、なんだかここはどこ状態である。
 そのまま、夕暮れのせまるゆるい坂道を抜けていくと、右手に軍関連の病院施設「三軍総医院」がでんと姿を現し、町と見間違う巨大さにのけぞり、それを抜けると間もなく大きな十字路に行き着き、そこを突っ切ると、通りの向かって右手に赤い看板と黄色い提灯が見えてきた。徒歩30分ちょいといったところか。W老師行きつけの鍋の店「紅面薑母鴨」である。

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 大きな丸テーブルが奥に長い店内にいくつも並んでいる。早めの時間だったのでまだ空いていたが、夕食時は奥の席まで一杯になるという。

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 この店の名物は店名にもなっている薑母鴨(ジャンムーヤー)という鍋。鴨の生姜煮込み鍋のことだ。薑母(ジャンムー)というのは、新生姜の逆の三年以上栽培した生姜で、熟成した深い味わいを持つ。店名についている「紅面」は紅面鴨という赤ら顔の鴨のことで、こちらも深い旨味があるとか。つまりここは、紅面の薑母鴨を食べられる店というわけである。W老師のさらなる説明によると、この2種の食材を、紅標米酒なる台湾の料理酒+ごま油+漢方薬等の隠し味を少々加えたスープで煮込んで鍋の完成となる。
 食せば身体ポカポカ、カゼにも効果アリの台湾では、鉄板の冬の風物鍋だという。 後で「台北 薑母鴨」でネット検索してみたら、なるほどこの鍋を出す店は、他にも台北市内に何軒もあるのだった。
 日本語は通じないけど、席につくとメニューを記した紙を渡されるので、それに必要な品数を書き込んでいけばなんとかなるはず。飲み物は奥のケースから勝手に持ってきてや。

 また薑母鴨は、様々な具材のオプションが用意されていて、それを煮込んだり湯がいたりして、バリエーション豊かに楽しめる具合になっている。

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 血でこさえた煮こごり風の鴨血糕は、湯豆腐みたいに茹でて食べるんだけど、この店のは臭みなしのサッパリ味で食べやすい。

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 あるいは鴨腸というモツ。

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 しゃぶしゃぶ風に箸でゆがいて頂く。丁寧に下処理がなされていてこちらも臭みがなくて、独特のコリコリ感がクセになる。あるいは豆皮(揚げた湯葉)、高麗菜(キャベツ)とか。いずれも店オリジナルの特製タレ(辛めの醤油だれのとゴマタレ風を各自ミックスして使う)を付けて頂くのだけど、これが風味豊かで、食材にいいアクセントを与えてくれるのであった。鍋に投入せずそのまんま食べてもイケる麻油麺線(ゴマ油で和えた素麺の揚げガーリックがけ)もクセになる味なんだよなあ。

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 中華系の料理としては全体にさっぱり味で、なんだか東京の下町で鍋つついているノリである。そしてビールが進む。薄味の台湾ビールもいいけれど、日本ビールも合いそうだなあとか思いながらぐびぐび。ロケーション含めて◎である。

 お店の人に「很好吃了(うまうまだったあ)」とたどたどしく言い置いて、外に出れば、普段着姿の台湾の街並みが続いている。

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 これ、1月2日の風景ですぜ。くたびれない正月の息抜き旅。クセになりそうである。

(写真・文=奥谷道草)


DATA 

紅面薑母鴨
 鍋の基本セット250元 オプションの具材各30〜50元 台北市內湖區成功路二段233號 営業時間夕方〜深夜ぐらい(はっきり決まってないらしい) 夏期まるっと休。電話02-2792-0596(日本語不可) 1元=約3円