主なカテゴリ
  • 時刻表
  • 雑誌
  • 書籍
  • こどものほん
  • 新書
  • 新聞
  • 会社案内 企業・書店様へ

ショッピングカートを見る

トピックスニュース

【グルメの迷宮】ジャンボ餃子の老舗◆八重洲[泰興楼]

11/03/02 |散歩の達人編集部より|

 JR東京駅の八重洲口側は、線路をまたいで反対側の皇居・丸ノ内ゾーンと比べると、ぐっと庶民的である。駅の地下には、東京駅一番街および八重洲地下街という地下街が、北・東・南3方向に伸びていて、これがあきれる程広い。ことに八重洲地下街は、雑貨衣料品はもちろん郵便局に古本屋まで揃っているのだから、ちょっとした町である。飲食店も充実していて、最近はタイ料理や韓国料理、オイスタバーなどバリエーションも増えてきた。天候も気にしないで済むし、ここに足を踏み込んだら、たいがいのことは済んでしまう。 

 しかし、その一方でこういった地下商店街の限界だろうか、大半の店はどこかで見覚えのある店ばかりで、ちと物足りない感じがするのも確か。地元ならではの味はないんだろうか……と思うのであれば、八重洲地下街の東に延びる筋「八重洲地下1番通り」の21番、日本橋方面出口の階段を登り、辺りを見回して頂きたい。黄色い金券ショップとメガネ店にはさまれた曲がり角が、目の前にあるはずだ。 

 

.jpg

 日本橋へと続くここは、近隣のサラリーマンの御用達ゾーンである。ぶらついてみると、これまたオモシロいのだけど、今回は角を曲がってすぐにある店へ足を運ぶのである。「泰興楼」1949年、この地で開業という八重洲の老舗中華店である。

.jpg

 ちょっとリッチな雰囲気の店に、ずいずいと踏み込み、たまあに日本語がアヤシクなる店員さんに、メニューも見ずに餃子とタンタンメンを注文。タンタンメンはさっぱり塩味の上海風焼きそばであってもいいが、餃子だけは外せないのだ。

 個人的な話で恐縮だが、ここは30年ほど前に初めてタンタンメンを食べた店であり、世にジャンボ餃子なるミニバナナみたいな餃子が存在することを知った店でもある。名物はジャンボ餃子ではあるが、30年以上前からタンタンメンを出していたのも、かなり先駆的じゃなかろうか。窓辺の席で店内を見回し、昔は普通の中華料理店だったんだよねえ、少しぶっきらぼうな接客があちらっぽいんだよなあ、などと思いつつ待つことしばし。

.jpg

 ジャンボ餃子とタンタンメンが運ばれてきた。 

 ジャンボ餃子を出す中華・ラーメン店は都内にも何件かある。ルーツは判然としないが、泰興楼はかなり古い方だ。たいがい〈焼き〉のみだが、ここは〈蒸し〉も選べる。どちらもイケるが、せっかくなので〈蒸し〉である。

.jpg

 傍らの文庫本と見比べてほしい。あっぱれなジャンボぶりである。しかも4ヶ入りの上に、6ヶ入りが普通にある。メタボ気味には禁断の一皿である。割り箸でしっかり掴んでやる必要がある。マグロの一本釣りってこんな感じなのか、いや、違うな。ともかくしっかり掴んで、やや酢多めの醤油だれにちょいとつけ、一口で平らげるのは無謀なので、餃子の上部、中部、と数回にわけて食らいつく。具は、刻んだ野菜と肉がどちらが勝つということもなく、うまく混ざり合っていてバランスのいい味、さっぱりした肉汁が全体をまとめあげ、餃子の皮のむっちり感が美味さを盛り上げる。

 泰興楼にはほかにもエビ蒸し餃子、水餃子などもあり、餃子愛にあふれかえっている。 

 一方、タンタンメンであるが、おや……赤い。

.jpg

 タンタンメンが赤っぽいのは当たり前なのだが、泰興楼は以前、乳白色の辛くない独特なタンタンメンを出していたのだ。ゴマ風味たっぷりでそれはそれで美味だったが、もうひと味ほしくてラー油を加えて食べていたことを思い出す。本格的な赤い辛いタンタンメンが主流になるにつれ、軌道修正したらしい。辛みが増したものの、ゴマたっぷりの独特なまろやか味は健在で、細い麺と相まってちょっと懐かしい感じの味であった。 

 クセになるほどではないけれど、一度は試してみていい店である。そして、ここいらを足がかりにして、実はけっこう味わい深い、八重洲の奥へぐいぐいさまよってみて頂きたいものなのである。 

(写真・文=奥谷道草) 

 

DATA 泰興楼 八重洲本店

タンタンメン850円 ジャンボ餃子(焼/蒸し)4ヶ740円・6ヶ1110円 

中央区八重洲1-9-7 電話03-3271-9351

営業時間 11時~14時30分(土11時30分~15時) 17時30分~22時30分(土~21時30分) 日祝休