主なカテゴリ
  • 時刻表
  • 雑誌
  • 書籍
  • 児童書
  • 新書
  • 新聞
  • 会社案内 企業・書店様へ

ショッピングカートを見る

ジパング倶楽部

毎月25日発行

今月の一句    毎月下旬更新

「ジパング倶楽部」会員様から投句いただいた作品を、選者の評とともに掲載します(敬称略)。

※写真はイメージです。

 

 

 

【選者】    黒田杏子(くろだももこ

  東京女子大学入学と同時に山口青邨(せいそん)に入門。卒業後、定年まで博報堂で働く。『広告』編集長などを務め、瀬戸内寂聴をはじめ多くの文化人と親交を結ぶ。30歳から「日本列島桜花巡礼」を単独ですすめ、58歳で満行。「桜と巡礼」の俳人としても知られている。

kuroda momoko

■今月の一句 応募要項

「今月の一句」は、お題に沿った俳句作品をお一人様3句まで(お題ひとつにつき1回限り)ご応募ください。 採用者には、QUO(クオ)カードを進呈します。

8月のお題/花火(6月10日締切。ハガキの場合は当日消印有効)
9月のお題/名月(7月10日締切。ハガキの場合は当日消印有効)

応募はこちら

■入選作品発表

haiku05_02.jpg 5月のお題:    柏餅


【総評】
柏餅と聞いて、無数にたちどころに句が浮かんでくる方がこの国には無数にいらっしゃることがよく分かりました。自家製のお母様の手作りの柏餅が、何年経っても忘れられない。私自身その通りなので、選句はなつかしい時間でした。

tokusen.jpg

うまかった母の手づくり柏餅    京都府 西山孝昭(77歳)

  どんな名店の柏餅にもまさる柏餅。それはすべてが自家製。餅も餡(あん)も手作り。小豆(あずき)を煮る匂い。餅を形作る手順。ホームメイドの柏餅は、母上の愛情そのものの味。「うまかった」の上五音字にため息が込められています。

shuu.jpg

むし上がるゆげの甘さや柏餅    宮崎県 鎌田和子(72歳)

  「蒸籠」、「せいろう」という台所道具があります。「せいろ」とも言います。その器具を使って作るお餅。いまだにその湯気の何ともいえないゆたかな、幸せな香りを忘れられない作者。私もこの方の記憶に共感、共鳴しました。

大人びて僕も味噌餡柏餅    青森県 大川 知(68歳)

  小豆の餡と味噌餡がある地方も多いのです。近年はお店でも両方売っています。幼いお子さんが味噌餡を所望。かわいいですね。作者は嬉しく、頼もしく感じておられる。その気持ちが伝わってくる新鮮な作品です。

母作る餡いっぱいの柏餅    東京都 三浦洋子(75歳)

  惜しげもなくたっぷりと餡が包まれている。ずっしりとしたその柏餅は、重みのある粒餡ではちきれそうな存在感のある形。何ともなつかしいその感触。作者はこども時代を思い出して一気に詠みあげたのでしょう。

明日には届くからねと柏餅    神奈川県 大森利憲(78歳)

  宅配便というもののおかげで、こういう句が作れるようになりました。自家製のもの、お店で買ったものでも、翌日の朝には届いてしまう。便利な時代です。電話での予告そのままが、一行十七音字の俳句になったのです。

半分にして妻と食ぶ柏餅    新潟県 長野光雄(73歳)

  おいしいけれど、一人でひとついただくのはちょっと。でも食べたい。夫婦でひとつ。仲良く半分こ。おいしい新茶を淹れて。それもまた愉しいことですね。季節感をたっぷりと満喫できる。半分ずつだとよりおいしいのでは。

 

 

photo image 4月のお題:   


【総評】
いきいきとたのしく明るい句が多く、選句を愉しみました。桜と聞けば、桜の文字を目にすれば、みなさん心が弾むのですね。かなしみをも包んでくれる「桜」という季語。それぞれの作品の表情をたっぷりと味わってください。

tokusen.jpg

山高の桜の前の父と母    千葉県 若松昭子(69歳)

  樹齢千年、いや二千年ともいわれる山高神代桜。幹は空洞になっても、毎年みごとな花を開きます。その花の木の前に立つご両親。現在のことでも回想の句でもよろしい。ご両親への愛と感謝の込められたみごとな句です。

shuu.jpg

今年また花にあこがれ旅に出る    福島県 工藤富江(63歳)

  私たち日本人の心と行動を代表して詠んでくださったような一行。作者の幸福感に満ちた表情が見えてきて嬉しくなります。「今年また」と詠み出された所がとても良いのです。どうぞ、今年の花の旅を堪能してください。

すれちがふ花嫁舟に桜舞ふ    徳島県 徳丸由子(81歳)

  たまたまの出合い。ラッキーでした。「花嫁舟」という日本語、たのしいですね。初々しいその人の表情と佇(たたず)まい。祝福の花びらがたっぷりと舞う。何と素晴らしい旅。日の光も風のそよぎもすべてが幸せを高めた日。

ちょつとだけ俳人になる桜時    神奈川県 内藤保幸(67歳)

  こういう気持ちって、どなたにもありますよね。うきうきと花をめぐり、花を訪ねてあちらこちらへ。気が付くと手帳に俳句のような言葉を書きつけていたり。ともかく一年の中で「桜時」ほど嬉しくたのしい時も無いのですから。

葉桜といふ落着きの中にをり       埼玉県 加藤節子(73歳)

  あの咲き満ちた花の日々がいつしか過ぎて、気が付くと葉桜の季節に。みずみずしい葉桜のゆたかさ美しさ。それを「葉桜といふ落着き」の時ととらえ、句に詠まれた力量に感心しました。こういう句の味わいも格別ですね。

異動する人の机に桜置く    茨城県 衛藤基邦(72歳)

  やさしい心遣い。どんな言葉にも増して、その桜の一枝は美しい。言わぬが花。言葉以上の友情、感謝、なつかしさなど、その桜の花は雄弁に語ってくれます。このような作品に出合って、選者も嬉しくなりました。