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【グルメの迷宮】渋谷の奥のほろり味◆渋谷[NEPALICO]

11/02/03 |散歩の達人編集部より|

 山手線ホームの一番恵比寿よりの階段を降りた先にあるJR渋谷駅の南口。

 渋谷にはもっと恵比寿よりの新南口(埼京線専用)もあるから、間違えてはいけない。別のステキな散策の旅に出ることになっちゃうであろう。ともかく、南口の改札を出て通路を左へ進むと、はるか向かいに「東急プラザ」の見えるだだっ広いバス乗り場に出る。すぐ左手には玉川通りの広い坂道。頭上を高速道路が走っていることもあって薄暗い。玉川通りのこっち側とあっち側を、薄墨で線引きして区分けしているような感じである。 

 実際、通りの向こう側エリアは、むしろ代官山の外れといいましょうか、ウガチャカお子ちゃま気質(昔は違ったんだけどねえ)の渋谷とは、一線を画した雰囲気が漂っている。昨今の代官山がそんなにオトナっぽいのかというと、ええと、あのう、ともかくとして、比較的落ち着いたエリアである。 

 坂道の途中、斜め左前方には、黄土色の高層ビルがやたら目立ってそびえ立っている。「セルリアンタワー東急ホテル」である。まずはここまで坂道を登る。所要時間はほんの数分。ビルの向こう側の角を曲がると、すぐに坂道と平行して続く細い筋がある。角に小さな広場というか公園があるのが目印だ。この筋、地味ながら、スペイン料理とかサンドイッチ店とかが並ぶ、美味しい感じが漂っている。集中的に通ってみようかしらなんて、浮ついた気持ちになりながら歩いていると、赤い屋根のカフェ風のたたずまいの店が現れる。「NEPALICO」である。

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 「NEPALICO」は、ネパールの家庭料理の店。昨年にオープンしたばかりだし、場所的にも穴場である。以前ここはビストロとか洋食屋だったよなあ、とか思い出しつつガラス戸を開ける。洋食屋だった店内の一部を改装し、自分たちのテイストに上手に仕上げている。シックな木の床に白壁、木製テーブルを配したシンプルな造りの店内は、ナチュラルで、のんびり落ち着ける雰囲気。ちょいぬるめの天然温泉みたいに、長居したくなる。

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 近頃、都内各所はもとよりあちこちにインド料理店ができいて、看板をよく見ると〈インド・ネパール料理〉と記されていることも少なくない。ネパール料理は、中華料理の影響からモモという餃子や麺類を食するなどの特徴はあるものの、一般的ニッポンジンにとってインド料理との境界線は、はなはだ曖昧だ。正直、ネパール料理ということで印象に残っている店はほぼない。で、NEPALICOはというと、ダルバートというあちらの日常的な定食をメインに据える、都内屈指の本格派であった。ダルバートとは、豆(ダル)&ライス(バート)の意。日本のお味噌&ご飯みたいなもんなのだとか。へー、そうなんですか。頭でビンゴ! と当たりのベルが鳴る。 

 ランチタイムのメニューから、ダル豆のスープにライス、それに野菜のターメリック炒め、チキンカレーという取り合わせの〈ダルバート・ノンベジ〉を注文する。なかなかゴージャスな盆に盛られてやってきたのがコレ。

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「よーく混ぜて食べてください」と、落ち着いた声の現地人スタッフに教わり、ダル豆スープ、カレー、野菜を景気よくライスにどばどばっと投入。辛みが少しほしければトマトベースのチリソースも加え、こいつらをフォークでぐったぐたに混ぜて口に運ぶ。おおっと、これは……。 

 インド料理の辛さを予想していたもので、見事にひっくり返された。スパイスは用いているものの、ひたすらまろやか。味付けも控えめで素材の持ち味を活かしている。洗練されたネパールおふくろの味といったところか。ことにすんばらしいのがダール豆スープ。

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 さらりとしていて、ほのかな塩味が豆のうま味を引き立て、ホンマに味噌汁みたい。しかもライスとダル豆スープはおかわり自由と来ている(どうですかと勧めてくれる)。腹にもたれないものだから、2度ほどお言葉に甘えてしまったのだった。おまけにランチには、小さなチャイ(甘いミルクティ)もつく。

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 甘みの効いた薫り高い一杯で、きちんと口がまとまる。さらにだめ押しに、野菜の美味い小サラダまで付いて980円。 

 食感は全体にあっさり目だが、物足りない感じはナシ。ほろりときそうなほどナチュラルな美味さ。お店の方の話では、ネパールもインド寄りの南方は味付けが辛くなるのだけれど、その他の地方では、それほど辛みは効かせないのだとか。控えめな接客も心地よく、BGM(民族系だけどシック)のセンスも、うーむお見事、心身ともに美味しい思いができる。ディナーも期待できそうだ。ティータイムにしても、ネパール産のコーヒーやレモングラスのハーブティなども味わえるという。

 個人的に昨今の渋谷は、大して食指の動く店もなく、あまり足を踏み入れたくないエリアであった。だが、NEPALICOに通うために、しばらく出かけることになりそうだなあと思うのだった。

 (写真・文=奥谷道草)

 

DATA NEPALICO(ネパリコ) 

ダルバート・ノンベジ980円(ランチタイム) 渋谷区桜丘町30ー18 電話  03-6416-1827 

営業時間 11時30分~15時(ランチ)  15時~18時(ティータイム)  18時~23時(ディナー)

日祝休 http://www.nepalico.com/