『JR時刻表』の前身である『全国観光時間表』創刊号(1963年5月号)の誌面の一部を、『JR時刻表』2023年4月号~12月号の発売日に毎月数ページずつ公開します(全9回)。60年前の時刻表で誌上旅行をお楽しみください。
【第2回】東北本線・常磐線
東京~仙台~青森を結ぶ幹線
1891(明治24)年9月1日、日本最初の私鉄・日本鉄道によって、上野~青森間で全通した東北本線は、青函連絡船を介して北海道の鉄道に連絡する役割も果たしていた。また、1898(明治31)年8月23日に田端~岩沼間で全通した常磐線は、東北本線を補完する路線として上野~青森間の優等列車が運転されていた。 (解説=結解喜幸)
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【P.132】上野~青森間を結ぶ急行列車
上野~青森間を結ぶ急行列車は、11列車〔みちのく〕、13列車〔北上〕(寝台専用列車)、15列車〔十和田〕、17列車〔北斗〕(寝台専用列車)、19列車〔いわて〕、21列車〔おいらせ〕、39列車〔八甲田〕(東北本線経由)の定期7往復が設定されていた。〔みちのく〕以外は夜行列車で、上野~青森間の所要時間は約13~15時間という長旅だった。上野~青森間の優等列車が常磐線を経由したのは、東北本線に比べて平坦路線であったことと東北本線の線路容量が理由(上野~大宮間は、東北本線のほかに高崎線・上越線・信越本線・京浜東北線の列車が1本の線路を共用していた)であった。東北本線には、上野~仙台間の気動車特急〔ひばり〕・電車急行〔みやぎの〕〔まつしま〕〔青葉〕、上野~盛岡間の気動車特急〔つばさ〕・急行〔陸中〕〔北星〕、磐越西線・奥羽本線などに直通する特急・急行列車も運転されていた。
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【P.133】キハ80系気動車特急〔はつかり〕
特急列車は東海道・山陽・鹿児島・長崎・日豊本線のみで運転される特別な存在であった。1958(昭和33)年10月改正で東北エリア初の特急列車として誕生したのが、上野~青森間の客車特急〔はつかり〕である。そして、1960(昭和35)年12月10日からキハ80系を使用した国鉄初の気動車特急となり、1961(昭和36)年10月改正からは、上野~青森間を10時間25分で結ぶようになった。冷房完備の特急用車両は速くて快適であり、青函連絡船の夜行便と連絡して函館駅から釧路・旭川行のキハ80系特急〔おおぞら〕に接続するゴールデンルートが誕生した。上野駅を13時30分に出ると、翌日の9時25分に札幌駅、15時25分に釧路駅に到着。所要時間は上野~札幌間が19時間55分、上野~釧路間は25時間55分と当時としては最速であった。
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【P.142】常磐線経由の特急・急行列車
昭和30年代は交流電化の実用化が推進されており、常磐線は1963(昭和38)年5月に平(現いわき)駅まで交流電化された。この時刻表では、気動車準急〔ときわ〕が徐々に電車化される前の時刻が掲載されている。「気」のマークは気動車を使用する列車を示しており、全国的に蒸気機関車牽引の客車列車が多い中、煤煙のない快適さを表すマークでもあった。下に掲載されている釜石線を見ると、常磐線と同じく準急列車は気動車だが、普通列車はすべて客車列車となっている。
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『JR時刻表』は、前身の『全国観光時間表』から2023年で創刊60年。これを記念し、読者の皆さまへの感謝の気持ちを込めて、2023年4月号から12月号にかけて「時刻表60年」特別企画を本誌およびスペシャルサイトなどで実施中!