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■気になるニュースから■ 「芳賀・宇都宮ライトレール」 宇都宮駅東口停留場で一般公開

2022年11月27日

 2023年8月開業を予定する「芳賀・宇都宮ライトレール」を広く知ってもらおうと、26、27日の2日間、JR宇都宮線(東北線)宇都宮駅東口の宇都宮駅東口停留場でLRT車両「ライトライン」の一般公開イベントが行われた。

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 宇都宮駅東口の宇都宮駅東口停車場で一般公開されたLRT車両「ライトライン」

 

 両日開催された地元主催「宇都宮駅東口地区まちびらき」グランドオープニングイベントの中で実施。黒色と黄色のツートンカラーに塗装された次世代型の新交通システムの新車両のお披露目に、地元住民、鉄道ファンらが多数来場し、車両外観、車内を見学した。

 芳賀・宇都宮ライトレールは、JR宇都宮駅東口から宇都宮市東部の清原工業団地を経て、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地までの約14.6㌔(軌道=自動車併用約9.4㌔、専用区間約5.1㌔)を結ぶ新線。同市では、LRTを東西軸として他交通機関とつなぐ公共交通ネットワークを形成して、地域住民などが移動しやすい持続可能なまちをつくることを目的に整備を進めてきた。

 開業後の旅客輸送を担う超低床式のライトライン(HU300形)は新潟トランシスの製造。「雷の稲光」をモチーフとした先頭部の黄色の「L字」をイメージさせるカラーリングが特徴。3両編成(3車体連節、長さ約30㍍)。座席数は50席(乗車定員約160人)。座席は2席×2席の対面式を基本とした。天井部に間接照明、デジタル案内表示器を、また、窓のロールカーテンは宇都宮の伝統工芸「宮染め」をイメージした。車いすスペース、フリースペース、全ドア部側面へのICカードリーダーも設けた。

 運転時間帯は6~23時。ピーク時(7~9時、17~19時)は6分間隔、オフピークは10分間隔で運行する。19駅を新設。起点となる宇都宮駅東口から終点の芳賀・高根沢工業団地までの所要時間は約44分。運賃は150~400円。2021年3月からサービス開始したJR東日本「Suica」など全国交通系ICカード機能を有した地域連携ICカード「totra(トトラ)」利用によるオンデマンドタクシーなどの地域内交通(市内14地区で運行)―LRT乗り継ぎで200円引き、バス―LRT乗り継ぎ利用で100円引きとする利用促進策も実施する。同カードは地域内交通(同)―バスの乗り継ぎでも200円引きとなる。

 計画では17編成を導入。停留場は車両乗降口と同じ高さに設定して、乗降時のバリアフリー化を実現。専用軌道区間を走行するため、交通渋滞に巻き込まれることなく定時運行を確保する。

 会場では関係者が「LRTの乗り方」と題して、「専用停留場からの乗降」「ICカード使用の乗降方法」、さらには道路上の「LRT専用信号の点灯」「軌道敷内の自動車走行・停車禁止」などを説明。JR東日本グループ関係者による地域連携ICカード「totra(トトラ)」の紹介・販売も行われた。

 ■芳賀・宇都宮ライトレールとは・・・

 芳賀・宇都宮ライトレールは、公設型上下分離方式。整備主体の市と町が施設を整備・保有。事業運営は官民出資の「宇都宮ライトレール」が行う。新型コロナウイルス感染症発生・拡大に伴う用地取得交渉や、幹線道路の交通量の多さから工事に伴う交通規制範囲を計画より縮小したことによる「野高谷(のごや)町交差点」付近での立体交差化工事の遅れが影響して、2023年3月に1年延期していた開業時期について、工事の遅れなどを理由に同年8月まで再延期した。

 ■試運転で脱線、原因究明、再発防止策策定へ

 11月17日から宇都宮駅東口―平石間で試運転を開始したが、19日未明に宇都宮駅東口停留場内の上り線曲線区間(半径約25㍍)で、時速約13㌔で低速走行していた車両の先頭車4輪と中間車後方の2輪が脱線し、前頭部、パンタグラフ、車輪などが損傷した。

 通常は、上り電車が下り線から上り線への分岐部を通って宇都宮駅東口停留場に入ることはなく、同市などによると「緊急時に使用する逆走時の分岐部レールと車輪との接触状況の確認」が目的だったという。市と宇都宮ライトレールでは有識者を交えての事故原因などの調査を行い、同種事故の再発防止策などを策定していく。

 ■駅西側エリアへの延伸も

 芳賀・宇都宮ライトレールについては、JR宇都宮駅西側エリアでも整備計画(約5㌔)が進む。また、大谷観光地付近までは「検討区間」として、引き続きの調査・検討を進めている。

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