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■気になるニュースから■ 開業11日間で2度の自動車衝突事故 芳賀・宇都宮LRT

2023年9月8日

8月26日に開業した「芳賀・宇都宮LRT」と自動車の衝突事故が9月1日と5日に発生したことを受けて、栃木県警、宇都宮市、運行管理に当たる宇都宮ライトレールの関係者が8日、同市内で緊急対策会議を開き、自動車ドライバーに路面電車と並行する道路などでの交通ルールの周知、安全運転の徹底を図っていくことを確認した。開業からわずか11日間で2度の事故発生の事態に関係者は頭を抱えている。

宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地(約14.6㌔)結ぶLRTは、自動車併用区間が約9.4㌔あり、特に宇都宮駅東口から清原地区市民センターまでは、一部を除き道路との並走区間となっている。このため、県警はじめ同社などではLRT開業前から自動車ドライバーらに交通ルールの順守、安全運転の徹底をパンフレット、ホームページなどを通じて呼び掛けている。

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開業11日間で2度の自動車との衝突事故が発生している「芳賀・宇都宮LRT」

  

開業7日目の今月1日に自動車とLRTの交通事故が発生した。

11時50分ごろ、宇都宮市清原工業団地付近の上り線軌道内で、隣の道路から右折しようとした普通自動車と後方から直進してきたLRTの車両が接触。幸い運転士と乗客約70人、自動車ドライバーにけがはなかったが、警察の現場検証などもあって、運転再開までに約50分を要した。現場は右折禁止だった。

2度目は5日12時ごろ。宇都宮駅東口付近のロータリーを南進してきた76歳の女性が運転する普通自動車が下り線軌道内に進入し、右側から直進してきたLRTと衝突した。女性は右側から来たLRTには気付かなかったという。こちらも乗客など約100人にけがはなかったが、自動車は右前部分、LRTは左前側がへこむといった損傷を受けた。約30分後に運転を再開したが、ダイヤが乱れた。

この日の会議では、県警の石井清一交通事故抑止対策官が「危険箇所や実態などについて情報共有して課題を抽出していく」と述べて、再発防止に向けた対策に取り組んでいく姿勢を見せた。

 

■県警など交通安全を呼びかけ

今月11日には、栃木県警と市、宇都宮ライトレールの職員など30人が参加し、宇都宮市内で自動車ドライバーに注意を促すボードを掲げたほか、チラシを配って、交通ルールの周知と交通事故の防止を呼びかけた。

 

■開業13日間で約17万9000人利用 需要予測を大幅に上回る

宇都宮ライトレールのまとめによると、「芳賀・宇都宮LRT」の開業日(8月26日)から9月7日まで(13日間)の利用者数は上下計で約17万9000人だった。開業フィーバー効果などもあるが、現時点では1年目の需要予測を大幅に上回っており、平日は1万2800人に対して平均1万2400人、休日は4400人に対して平均1万6700人に達している。

15時からの営業運行開始となった開業日は約1万人、27日が約1万9000人。平日の28、29日にはいずれも約1万3000人、9月1日は約1万5000人となった。また、サッカーJ2・栃木SCのホームゲーム(栃木県グリーンスタジアム)が開催された3日には約2万人が利用した。