2024年2月25日
熊本県の第三セクター鉄道・くま川鉄道が発起人となった石川県ののと鉄道の復旧・復興支援を目的とした「頑張れ!のと鉄道 鉄道仲間応援切符セット(妄想鉄道特別応援切符セット)」が3月1日から全国の民鉄36社で順次販売される。
くま川鉄道では、「令和2年7月豪雨」で鉄道施設に甚大な被害を受け、全国各地から支援を受けた。中でも各地の鉄道事業者からの支援には「大きな支えとなり、復興への力となった」(同社)とコメント。今年の元日の「令和6年能登半島地震」で被災したのと鉄道には「同じ鉄道の仲間として何かできないものか。やれることをやろう」(同)との思いを強くしたという。
東日本大震災で被災した岩手県の第三セクター鉄道・三陸鉄道に話を持ち掛け賛同を得た。そして2社連名の形で〝応援企画〟の参加を募ったところ、三セクをはじめとする民鉄各社、さらには鉄道好き著名人にも支援の輪が広がった。鉄道会社の数は36社に上った。
鉄道好き著名人には商品化で協力を得た。鉄道をテーマにしたテレビ番組や地域鉄道が主催する鉄道関連イベントで人気を博す「鉄道BIG4」のお笑いコンビ、ダーリンハニーの吉川正洋さん、お笑いトリオ、ななめ45°の岡安章介さん、ホリプロマネージャーの南田裕介さんに、タレントの代走みつくにさん、テレビ番組制作会社ディレクターの田中匡史さんが加わった。
商品名の一部にもなった妄想鉄道は、「こんな鉄道があったらいいな!」の夢を描く自分だけの鉄道会社で、実在しない架空の路線図、駅、ダイヤなどをもとに自ら妄想経営するという。「吉川急行電鉄」(吉川さん)、「岡安新都市交通」(岡安さん)、「万波急行電鉄」(みつくにさん)、「南田鉄道」(南田さん)、「たなか高速鉄道」(田中さん)の架空の鉄道5社が立ち上がり、「吉急なんば→穴水」(吉川さん)など、のと鉄道駅までの顔写真入り片道きっぷ(硬券、各400円)を製作した。台紙付き。鉄道写真家・中井精也氏の協力を得て、被災前に撮影したのと鉄道の写真をあしらった。
「離れていても、心は一つ」のメッセージを添えて1セット2000円、2000部限定で販売する。印刷は鉄道の乗車券類の印刷を行う関東交通印刷が担当した。
くま川鉄道では人吉温泉駅のほか、同社の通信販売でも取り扱う。三陸鉄道では4日から「さんてつや」で販売する。そのほかの鉄道会社でもホームページ、SNSなどを通じて、販売場所、販売駅、販売数に関する情報を順次発信している。東京都目黒区の「カレーステーション ナイアガラ」でも販売する。切符セット代のうち印刷費分を差し引いた額がのと鉄道に寄付される。
吉川さんは今月24日に東京都内で開催した出演する旅番組「鉄道ひとり旅」の12周年記念イベントで先行販売。自身のX(旧Twitter)では「ぜひ一緒にのと鉄道を応援しましょう!」と呼び掛けた。
販売する鉄道会社は次の通り。
会津鉄道、IGRいわて銀河鉄道、秋田内陸縦貫鉄道、阿佐海岸鉄道、明知鉄道、アルピコ交通、いすみ鉄道、伊勢鉄道、えちごトキめき鉄道、えちぜん鉄道、鹿島臨海鉄道、紀州鉄道、京都丹後鉄道、くま川鉄道、三陸鉄道、信楽高原鐵道、しなの鉄道、湘南モノレール、樽見鉄道、智頭急行、銚子電気鉄道、津軽鉄道、天竜浜名湖鉄道、土佐くろしお鉄道、道南いさりび鉄道、長野電鉄、長良川鉄道、平成筑豊鉄道、肥薩おれんじ鉄道、ひたちなか海浜鉄道、水間鉄道、南阿蘇鉄道、真岡鐵道、山形鉄道、由利高原鉄道、若桜鉄道