東海道新幹線「のぞみ」は、それまでの常識を覆し、関東~関西間の出張の形を変えたとまで言われる歴史的な列車です。当書は、開発当時の担当者たちへのインタビューはもちろん、当時作成された実際の資料など、多くの事実を集め、初めて開発の全容をまとめた一冊です。
■序章
「最高の…」
■第一章 新幹線がもたらした、世界的な鉄道復権
動力は「集中」か「分散」か
電車による「超特急」が払拭した斜陽論
■第二章 この車両を作らなければ未来はない
迫りくる、航空機の影
課題は振動、そして騒音
「こんな車両できるのか?」
担当者が競うのは、グラム単位の軽量化
要(かなめ)はアルミ押し出し加工
先頭形状を決めるのは、最後尾の「渦」
騒音源のパンタグラフの数を減らす
初の試み、直流から交流への変換
回生ブレーキが変えた床下配置
応荷重装置で防ぐ、車輪の滑走
課題はバネ下荷重の軽減
切り札は、ボルスタレス台車
■第三章 高速への挑戦を支える、地上設備
ATCの2周波化で高まる信頼性
デジタル化がもたらす、スムーズな減速
電力供給システムの改良で可能になった、特高圧引通し線
波状摩耗は、思い切った全取っ換えで
乗り心地を考慮した軌道管理
■第四章 時速30キロからはじまる、未知との遭遇
はたして、この軽い車両が動くのか?
停電検知ができず、止まらない列車
300キロ以上とは、空気密度も影響する世界
■第五章 700系からN700Sまで
粘着方式の、課題と限界を求めて
「トンネルどん」から生まれた、滑らかに空を飛ぶ姿
1度の傾きで、20キロ早くなる、曲線通過
進化するブレーキシステム
雪との闘い
騒音を極限まで少なくする
2つの方式の競合から生まれた、走行風冷却
「標準車両」で、世界も視野に
歴代が集う、リニア・鉄道館
■第六章 「点」から「線」へ、変革する保守
各部の動きから、「ヒヤリハット」までデータベース化
交番検査は、若手社員の登竜門
すべてを分解し、一から確かめる機器の動き
状態監視で、事前に対処
データが証する、確実な傾き
■第七章 早期に検知し、脱線・逸脱を防ぐ地震対策
地震の「P」波と「S」波
対向列車との衝突を避ける逸脱防止ストッパ
東海道新幹線ならではの課題に取り組む、小牧研究施設
■終章 システムで築く、地球環境への配慮
■おわりに
■参考文献
■年表
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