殖民軌道は、かつて北海道にだけ存在した特殊な軽便鉄道。国鉄の駅などがあった中心集落と周辺の入植地の間に役所が敷設したごく簡単な軌道で、おもに農産物の輸送に使用されました。
動力となる馬は入植者が用意し、自ら運行も行なっていました。最盛期には総延長700キロにも及んだ殖民軌道も、道路の整備によって急激に衰退、昭和47年には完全に姿を消しています。
このように、簡易な軌道であったため、当時を窺い知ることができる産業遺産や記録はほとんど現存しない、まさに「幻の鉄道」なのです。
著者は、わずかな手がかりを元に愛車の自転車のペダルをひたすら漕ぎ、軌道や停車場などがあったと思われる道なき道をたどります。平成13~17年の間に、著者が訪ねた順に沿って、根室、釧路、日高、十勝と話を進めていく感動のノンフィクション紀行エッセイです。
第1章 さいはての殖民軌道/平成13年 根室
虹別の熊・標津のカラス・急転川北郵便局・秘湯養老牛温泉
第2章 湿原の殖民軌道/平成14年 釧路
雨の巡礼白装束・蕗畑・きょうのわざをなしおえて・釧路湿原裏街道
第3章 北への思い/平成15年 日高
日高計画・健康診断・スーパーシート・ホルター心電計・カウントダウン・日高の軌道
第4章 旅の終わり/平成17年 釧路・十勝
急行はまなす・支笏湖・札幌郊外三軌道・終点沼幌・雪の終章
田沼 建治(たぬまけんじ)
昭和22年栃木県足利市生まれ。神奈川県鎌倉市大船在住。化学会社のサラリーマン。昭和46年に国鉄・私鉄その他鉄軌道全線乗車を果たす。郵便局めぐりは昭和44年以来で現在、約5600局。黄色いヘルメットで青い自転車を漕いでいるおっさんを北海道で見かけたら、多分筆者です。
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