誰もが知る日本を代表する山手線は、南北連絡線から始まった歴史の複雑さ、車両の多彩さ、知られざる沿線文化など、高い周知度と相反する多くの事実があります。それらを体系的に整理すると、江戸から東京への遷移ぶりと、東京ならではの複雑な地勢が浮かび上がり、日本の首都の地勢的構造を把握することができます。本書は、「江戸」をベースとした従来の鉄道書には無い視点を用い、日本の都市の仕組みの主断面を浮き彫りにします。
なお、鉄道開業150年(2022)、山手線環状運転100年(2025)を経て、2026年は「山手線」という呼称が誕生して125年の節目の年となります。
はじめに
第1章 山手線のあゆみ
1-1 山手線誕生前夜 江戸と鉄道の関わり
1-2 江戸~京都を結ぶ鉄道のルートは2大街道に沿う構想から
1-3 すべての始まりは品川から 日本最初の駅の誕生
1-4 貨物線がルーツ 江戸時代の街道との交差点に駅をつくった
1-5 秋葉原は神田川沿いの貨物専用駅 鉄道と水運のターミナル
1-6 「Cの字」運転と「のの字」運転 環状運転へ向けて歩み出す
1-7 山手線と関東大震災 奇跡の復興から都市交通網の進化へ
1-8 環状運転の実現 都市鉄道の新な進化
1-9 山手貨物線の線路を旅客活用へ 埼京線、湘南新宿ラインの誕生
1-10 越えられなかった山手線の壁 「市営モンロー主義」
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第2章 江戸から東京へ 山手線が変えた街と駅
2-1 品川 今も昔も変わらない「江戸」「東京」の玄関口
2-2 大崎 「おうさき」の駅と街の変遷
2-3 五反田 複雑な地形に建つ橋上のホーム
2-4 目黒 目黒区には無い目黒駅の謎
2-5 恵比寿 「第三の男」が伝える駅とビールの関係
2-6 渋谷 移転と工事を繰り返し谷底からブランドの街へ変身
2-7 原宿 開業時には無かった明治神宮と神宮の杜
2-8 代々木 駅構内のレトロと予備校街
2-9 新宿 甲武鉄道と淀橋浄水場
2-10 新大久保 ヤード・ポンド法の名残とコリアンタウン
2-11 高田馬場 時代劇の聖地は世界屈指の高密度利用駅へ
2-12 目白 日本初の橋上駅と文化村
2-13 池袋 原野に誕生した信号所から大ターミナルへ
2-14 大塚駅 路面電車と三業地、戦後東京の縮図
2-15 巣鴨 江戸時代の中山道の繁華街から「おばぁちゃんの原宿」へ
2-16 駒込 山と谷の狭間、山の手と下町の境界
2-17 田端 ターミナルだった過去と文士・芸術家の村
2-18 西日暮里 地下鉄のために開業した駅
2-19 日暮里 常磐線の起点とホームの紆余曲折
2-20 鶯谷 鉄道が発達させたレジャーホテル街
2-21 上野 公園と動物園が駅と街のシンボル
2-22 御徒町 開業時の様子が散見される
2-23 秋葉原 貨物、電器、ヲタクそして…いつもサブカルの街
2-24 神田 市街地に誕生した駅
2-25 東京 大名屋敷からビジネス街へ 丸の内発展史
2-26 有楽町 銀座の隣町として発展
2-27 新橋 鉄道発祥の地からサラリーマンの聖地へ
2-28 浜松町 東海道線の列車が停車しない東海道線の駅
2-29 田町 江戸の海辺の町から高層ビル街へ
2-30 高輪ゲートウェイ 実証実験の宝庫 電車区の街からの再開発
【コラム】山手線 乗車人員ランキング
第3章 歴史遺産に見る都市の近代化
3-1 日本最古の鉄道遺跡 埋め立ての遺構 高輪築堤
3-2 国の史跡 旧新橋停車場 明治初期の近代化を象徴するターミナル
3-3 東京駅赤レンガ駅舎 国指定重要文化財の近代建築
3-4 現存する日本国内最古のレンガ高架橋 新橋・有楽町の赤レンガ
3-5 レンガ造りのトンネル遺構 線路改良で姿を消した道灌山トンネル
3-6 京成上野トンネルが担った戦時下の使命 鉄道網を守る地下要塞
3-7 山手線に残る歴史の橋 産業遺産と呼ぶべき架道橋と跨線橋
3-8 古レールを建材として再利用 複数の駅に見られる産業遺産
3-9 ホーム延伸の跡が語る都市鉄道の進化 山手線輸送力増強に対応して長くなったホーム
【コラム】原宿の宮廷ホーム
第4章 江戸の風景を映す地名と駅名
4-1 駅名由来の土地から遠い場所につくられた駅 代々木駅、大塚駅
4-2 謎が多く、諸説が伝わる駅名 有楽町、鶯谷
4-3 「新」をもつ駅名と江戸時代の姿 新大久保駅
4-4 江戸の宿場名が駅名に 新宿駅
4-5 歴史的地名と読みが違う駅名 高田馬場駅、秋葉原駅
【コラム】メロディに乗った山手線 歌謡曲に登場する駅
第5章 武蔵野台地の地形
5-1 日本最初の駅は海上に造られた 品川~田町間は海上を往く
5-2 連続する谷越え山越え 山手線の名称の由来
5-3 山手線の最高地点・最大急勾配 坂が多いことが山手線の特長
5-4 地図にみるカーブの謎 大塚付近と日暮里付近のレール事情
【コラム】山手線唯一の踏切 第二中里踏切 踏切廃止と山手線の未来
第6章 車両の150年史
6-1 蒸気機関車の時代 鉄道黎明期の主役たち
6-2 初期の時代を走った電車~明治・大正・昭和(戦前・戦後)
6-3 高性能通勤電車101系と103系 高度経済成長期の東京の発展を支えた
6-4 205系からE231系へと進化 昭和末期から平成にかけて活躍
6-5 新時代の通勤型車両E235系 技術・快適性・省エネ性能が向上
おわりに
主な参考文献
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