日本における社会派推理小説の先駆けとなったベストセラー『点と線』が発表されたのが昭和32年から33年にかけて。
その昭和33年は、現在の天皇・皇后両陛下のご婚約が発表されるなど、昭和史にとってエポックメーキングな年であった。また、高度経済成長のさまざまな明暗が現れはじめた年でもあった。
本書は、当時の世相を反映した松本清張作品から、鉄道シーンを一挙に再読する試み。
第1章 小説に探る鉄道風俗
『点と線』『ゼロの焦点』『張込み』『けものみち』『黄色い風土』『死の発送』
第2章 鉄路の果てに人生の岐路
『眼の壁』『黒い樹海』『砂の器』『屈折回路』『山峡の章』
第3章 東京の郊外電車、西へ
『不安な演奏』『蒼い描点』『父系の指』『青のある断層』
資料編 路線別作品一覧/鉄道・初出誌(紙)年表
岡村 直樹(おかむらなおき)
昭和23年東京生まれ。慶応義塾大学卒。ローカル紙記者などを経て旅行作家に。日本旅行作家協会会員。川の旅人。文学、歌謡、映画、民俗、歴史、絵画などの方面から川にアプローチして21年。全国109の一級水系すべてを踏破。現在は二級水系を歩いている。平成21年1月、弘文堂から講演集『自然と神道文化―海・山・川』(共著)を上梓。時代小説に描かれている旅のスタイルに注目した『旅する時代小説』も執筆中。おもな著書は『切り絵利根川の旅』『川の歳時記』『寅さん人生の伝言』『とっておきの里祭り』ほか。
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